半導体パッケージテクノロジーのエキスパート

株式会社SBR テクノロジー

第2回モバイルAPのプレイヤー達の動向

第2回 モバイルAPのプレイヤー達の動向
連載・次世代パッケージ 2020 第2回
○業界左右するアップルの決断
○MTKは低価格路線追求

今月はAP各社における新規構造採用の動きを追ってみる。
2008年のIphone 3GモデルよりモデムはQulacommが担当している。同じ年にはGoogleのAndroid OSがOpen Handset Alliance(OHA)から提供されSamsung、TI、ST、Broadcomなどフィーチャーフォン(FP)のBase Band(BB)の継続組やブロードバンドからの進出組など一斉にスマホに乗り遅れまいとAPに多くのプレイヤーが参入した。ただし、この時点でQualcommがリードした3Gの世界に追随できたモデムプレイヤーは、Infineon、Nokia、Mediatekなど限られていた。

この後、スマホの急速な普及により価格競争が激化していく中で、APはモデムを一体にする構造が安くなるのは明らかで、それを供給できたのはQualcomm、Mediatekなどに限ら、その他のプレイヤー達が消えていったのは当然の流れだった(後にIntelはInfineonのモデムを買収しAPプレイヤーとし参入)。

Appleはテクノロジー面でも他社との差別化を図りマーケットシェアを維持している。低インダクタンスキャパシター内蔵基板はiPhoneが採用した。Samsungハイエンド、Qualcommのハイエンドはこれに追随した。ハイエンドにおいては今後共Appleが多少のコストアップになっても決断した新規構造テクノロジーは業界の標準になるという事が想像できる。

一方でMediatekは大きなアジア市場のローエンドを主体として成長してきた。もちろんハイエンド用としてもLTE-Aまでカバーし、さらにQualcommよりも先行した性能を出せるというアピールは忘れてはいない事は追記する。
互角お性能に対して、MediatekはQulcommに較べて50%近い価格を売り物に中国製のスマホの急伸の波に乗った。徹底的なコストダウンを図ろうとして、既存のテクノロジーの延長で低コスト化を実現するという方向での構造を模索している。新興の中国製のAPプレイヤー達はこのMediatekに追随するだろう。

昨年TSMCがFO-WLP(InFO)(*1)をAPへの適用を示唆した発表があり、業界メディアや証券会社アナリストは適用先がAppleの次世代APであり、再度Wafer製造をSamsungから引き戻すために、InFOによる囲い込み戦略であると報じた。AppleがFO-WLPを欲している事は否定できない。FO-WLPは従来のFC-CSPに較べてパッケージの高さを300um以上低くできることや熱時変形が小さいことが適用へのモーチベーションである。さらにパッケージ上面にRDLを施した3D構造を持たせるとTSVの3Dを前提としていたWideIO2をPoPで実現するいほどの可能性も秘めているからである。

ただ、現在のパッケージコストと比較するとコストアップは明らかであるし、AppleのWaferを100%TSMCで製造する事態は想像できない。TSMCのInFOをAppleが採用するとすれば、SamsungもFO-WLPを自社かOSATSにより実現できるかどうかが条件になるだろう。ただいずれにせよInFOと他のFO-WLPでは外形寸法を同じにしても構造が事なる。今後、Appleがどう意思決定するかにより将来のAPのパッケージ構造及び製造インフラに大きな変化が起こる可能性がある。
MediatekはFC-CSP+eMCP(embedded multi-chip package)(*2)を推進している。この構造はDRAMとFlashを同じパッケージ入れる事でメモリー搭載面積を半減させる。さらにPoPのメモリーにより本来より大きくなっていたAPのFC-CSPでできるだけ小さくする事で搭載面積を減らす。加えてFC-CSPの基板はコアレスETS(Embedded Trace Substrate)のでコストダウンを図ろうとしている。

以上、ハイエンドとローエンドに2極化されるスマホのAPのパッケージも新規構造においてまったく異なった展開がされつつある事が興味深い。さらに新規テクノロジーの採用は圧倒的なマーケットシェアを持つプレイヤーがさらに差別化する戦略により実現される事が理解できる。

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